2017.03.26

生活基盤と、設備と

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 21日の日本経済新聞に「浜松市で下水道初の運営権 仏ヴェオリア陣営が取得」という記事が掲載されていました。

「浜松市は21日、国内初となる下水道の長期運営権売却「コンセッション」で、水処理世界最大手の仏ヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックスなどで構成する企業連合が優先交渉権を取得したと発表した。同市が下水道運営の一部を同陣営に20年間委ねる。コンセッションは空港や道路で始まっている。民間の効率的な運営ノウハウを生かせば収益性が見込めるとして、インフラ運営に参入する企業は増えそうだ」。

 さらに記事によれば、「コンセッション」は政府の成長戦略の一部で、利用料収入を伴うインフラ資産は185兆円、という記述もありました。

 民間委託して効率化。
 潜在ニーズのある成長市場。

 道路や空港の時はさほど違和感を覚えませんでしたが、下水道という点が少し引っかかりました。

 民間、って要するに大手上場企業でしょう。確かに、上場企業は効率的な運営ノウハウを持っているかもしれません。一方で、効率が悪い事業と判断すれば撤退するのも上場企業です。個々の企業の問題というよりも、効率の悪い事業を続けて、つまり赤字を出し続けて、株主還元を圧迫することが許されない構造になっているからです。

 市民の生活にとって、インフラとひと言で言っても、なくては生活が脅かされるものと、なくても何とかなるものがあるでしょう。道路や空港に違和感を覚えなかったのは、そうした「設備」は後者だと考えたからかもしれません。

 今後、民間運営が広がっていくのかもしれませんが、水道といったライフラインと設備は分けて考えたほうがいいのではないか。そういったライフラインを民間に委託して撤退されたらどうなるのか。

 そんなことは十二分に考えてくれているのだと信じたいところではありますが、どうも最近、そうは思えないものでして。



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