2014.10.12

大学の理念

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
 10月6日の日経新聞に「大学の評価 地殻変動」という記事がありました。
「文部科学省が大学の国際化を支援する「スーパーグローバル大学(SGU)」37校を選んだ。グローバル化戦略で国のお墨付きを得られた大学の喜びはひとしおだ」
 まずもって、「スーパーグローバル」という用語はどうなのでしょう。福沢諭吉の理念を出して喜びを表現したのは慶応義塾大学ですが、福沢さんはこの言葉と、そのあり方をどう思われるでしょうか。
 選定は、世界ランキング100位以内を目指す「トップ型」と、それ以外の「グローバル化牽引型」の2通り。そもそも、大学がランキングを競うことにどれほどの意味があるのでしょう。学生の成熟に資する点があるのでしょうか。
「「○○大学は安全圏だが、△△大学はヒアリングに呼ばれなかったらしい」「ライバル校には負けられないので、必死で申請書を書いた」・・・。そんな噂や苦労話を随所で聞いた」(同記事)。
 これが本当だとしたら、まったく報われない苦労だと思います。
 記事には、こんな記述もあります。
「採択校が喜ぶのも当然だ。今後10年間、毎年、トップ型で約4億2千万円、けん引型で約1億7千万円の補助金を受けられるからだ。」
 なんだ、結局、お金の話ですか。
 さらに続きます。
「だが、それ以上に魅力的なのはSGU採択校という勲章だろう。今や、グローバル化は大学改革の最重要課題。採択されれば、グローバル化戦略で国のお墨付きを得たことになる。これから10年間、SGU採択校を名乗れるメリットは計り知れない。その分、選に漏れた場合の痛手も大きい。」
 私にとっては、ほとんど意味不明の文章です。
 何が勲章なのか。
 なぜグローバル化が最重要なのか。
 最重要だとして、なぜ国のお墨付きがいるのか。
 ・・・
 私事ですが、我が家には中学校受験を目指している小学生がいます。彼の目指す中学校は、とある私立大学の附属中学校ですが、その大学は選に漏れました。
 良かったあ。
 心の底から、そう思っています。
 お上の方針に従いグローバル化に邁進する大学より、建学の理念を大切にする大学であってほしい。そう願っていましたので。
 あらゆる大学が、スーパーグローバル大学の選定を目指す。その結果に一喜一憂する。そのあり方そのものが、子どもたちの成長・成熟を担う教育機関の体をなしていないのではないかと、私は思います。
 牽引型に選ばれた京都工芸繊維大学の古山学長は、「単科大学ならではのスピード感を持って大胆に改革し、地域社会のグローバル化をけん引したい」とコメントされました。
 子どもたちは急には変われません。ゆっくり、ゆっくり成長し、成熟していきます。
 地域社会も急には変われません。緩やかな結びつきを、日々紡いでいくことが大事。
 私は、そう信じています。


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