2014.03.29
課税権という権利
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
先日、総務省で開催された「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を久しぶりに傍聴してきました。第26回で、今回が最終回。配布資料は下記リンクから見ることが可能です。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chikousuiken/02zaisei07_03000090.html
で、その内容については、おいおい触れるとして、話を聞いている中で1つ印象に残った言葉がありました。
「課税権」
文字通り、課税する権利、ということですね。国や自治体には、権力によっていわば強制的に人の財産から税金を徴収する権利が認められています。もちろん、だからこそ、課税を行なうには、すべて法律に基づかなければならないという、租税法律主義が重要とされています。
そういった「課税権」を貸借対照表(BS)に権利として計上するか否か。そんなご発言がありました。もちろん、課税権を金額的に測定することは困難です。従って、現実的に「計上しましょう」という話ではなく、そういった考え方もあり、どういうスタンスを持つかは大切ですよね、といった軽い提言、というように、私は受け止めました。
ただ、なるほど、そういう考え方もあるよね、と妙に印象に残ったのです。
印象に残った理由の1つに、同じ日の朝、「保証金を運用する権利」という概念に触れたからだと思います。
借地権に関して、とある解説を読んでいました。その中で、定期借地権の設定に際して受け取る保証金の話題があり、こんなことが書かれていたのです。
「保証金を運用して利益を得ることができる権利は、基本的には非課税」
たとえば50年の定期借地権を設定するとして、借地権者は、地主さんに対して保証金を支払います。50年後、地主さんはその保証金を返さないといけないとしても、その間、保証金を運用することは可能です。つまり、「50年間、保証金を運用する権利」は獲得した、と。
先ほどの課税権と同じように権利の1つですが、課税権よりは測定可能性も高いように思われます。そう考えると、定期借地権契約を締結した時点で、「50年間、地代を得ることができる権利」というのもあるかもしれない。
ただ、「権利」だらけになったBSはあまり見たくないですね。まるで、モンスターのBSみたいです。
測定可能な範囲で、ごく普通のBSを作っていく。この基本を忘れないようにしつつ、BSの変化を眺めていかなければならないなと思っています。