2014.05.24

新基準への移行で出来ること

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
 4月30日、総務省から「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」が公表されました。
 これまで、改訂モデルと基準モデルの2つの様式があった財務書類ですが、今回は統一的な様式が示されています。そして、同日、各地方公共団体に対して、「今後の地方公会計の整備推進について」と題した通知がなされました。
「当該報告書において示された統一的な基準による財務書類等の作成については、今後、具体的な要領等を作成した上で、改めて来年1月を目途に要請する予定です」と。
 その「具体的な要領等」を作成する研究会(今後の新地方公会計の推進に関する実務研究会)が発足し、来週28日に第1回会合が開催されます。
 詳細は、こちらのページから見ることが可能です。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei07_02000083.html
 その中の資料をちらほら見ていると、統一的な基準の設定により、以下の3つのことを促進する、と明示されています。
1)発生主義・複式簿記の導入
2)固定資産台帳の整備
3)比較可能性の確保
 その中で気になったのは、2)の固定資産台帳整備の効用です。広く言われているように、台帳を整備して、コスト情報を把握することで、公共施設のマネジメントにも活用が出来る、と。
 以前も書いたかもしれませんが、たとえば、佐賀県武雄市の図書館・歴史資料館は、蔦屋書店やカフェを併設してリニューアルし、来場者数が大幅に増加したと報じられています。オープン1年を迎え、蔦屋書店の母体であるCCC執行役員の高橋聡さんは、「武雄市の町が変わりつつある。図書館による経済効果は、広告換算だけで20億円になる」と語っておられます(3月14日、ハフィントンポスト)。
 確かに、そういう面もあるのでしょう(行ったことはありませんが)。
 一方で、もっと気になるニュースがありました。それは、今回のリニューアルにあたり、大量の書籍やCD、DVDが廃棄されたこと。まず、リストはこちらからご覧になれます。上から下まで、ページを繰るだけでも、相当時間がかかります。
https://docs.google.com/file/d/0B0Gno61dI_EaX00tRU9SUzFDazg/edit?pli=1
 この廃棄に、蔦屋への配慮があったのかどうか。武雄市の見解も含めて報じられているのがこちらです。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/24/takeoshi_n_5203682.html
 中でも触れられていますが、郷土資料も廃棄の対象になっている、という箇所は特に気になりました。
 今、大阪府泉大津市の言い伝えをまとめた書籍を読んでいます。とある方が、地元の方から熱心に聞き取り調査をされ、19の物語にまとめられたもの。私も堺が地元ですので、楽しみながら読み進めています。
 今回廃棄された郷土資料がどのようなものかは不明です。ただ、来場者数や経済効果だけでは測りえない、何かが失われているような気がして仕方ありません。
 企業の感覚も大切ですが、そもそも役割が企業とは異なる公共施設。そのことを意識しておかないと、取り返しのつかない過ちを犯してしまうのではないでしょうか。


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