2014.03.08
誰がやっても
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
先週ご紹介したフォーラム。
記事の中で、もう1つ気になったコメントがありました。教育行政に関して、越直美大津市長がおっしゃった言葉です。
「いじめの事件を通じて、現在の教育委員会制度は、責任ガバナンスが利かない制度だと痛感した。市民に対する説明責任も果たせていない。やはり、教育委員会は廃止をして、選挙で選ばれた首長が責任を持って教育行政を行うべきだ。」
大津市に関しては、いじめによる悲しい事件がありました。ですので、ニュートラルに評価するのが難しいのですが、少なくとも後半部分の「選挙で選ばれた首長」という部分に、私は少し引っかかりを覚えました。
1つは、教育改革の一環として、首長の権限を強化することが、本当にいいことなのかどうかという点。
かつて日経新聞で、どなたか(すみません、失念しました)が、首長は政策がうまくいかなくても任期がくれば辞めればいいが、多感な4年間を過ごす子どもたちに与える影響は甚大である、ということをおっしゃっていました。
その4年間だけ悪かった、ではすまず、人格形成や大人への成熟にとって致命的な影響を与えかねない問題だ。そういう主張だと、私は理解しました。
教育というのは息が長い制度です。今やったことの成果が、今日や明日や、1か月後や半年後に出るようなものではないでしょう。1年も2年も5年も10年もかけて、徐々に成果が出てくるのだと思います。子どもに言ったことが、いつ理解され、いつ彼らが腑に落ちるかなんて、まったく計り知れません。それ以前に、「成果」とは何かについても、考え出したら奥の深い問題だと思います。
そういった特性を持つ教育に、任期が4年の首長の権限を強化したらどうなるのか。あるいは、4年後、まったく違う考えを持った首長が登場したらどうなるのか。こうした不安が、少し引っかかった1つ目の理由です。
もう1つは、「選挙で選ばれた」という部分です。越市長のご発言は部分を切り取られているかもしれませんので、どんなニュアンスかは分かりません。
ただ、他の首長さんを見ていると、「選挙で選ばれたのだから、自分が民意を反映している」という主張が、いささか強すぎるのではないかと感じています。確かに選挙ですから、ある程度は民意を反映しているのでしょう。でも、すべての問題、課題において全権委任しているわけではないですよね。そんなことが許されるのなら、首長さんの選挙なんて、おそろしくて投票できません。
「選挙」という手続が、「民意」という言葉が、かなり都合よく利用されているような気がしてなりません。
それはともかく、教育というのは、誰がやってもそれなりに機能するものであってほしいと、私は思います。