2014.02.08

誰に説明責任があるのか

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
 先日、とある地方自治体の議員さんとお話する機会がありました。
 議員の間でも会計に関して講師を招いて勉強会が開催されるようで、その前段階として少しレクチャーをしてほしい。
 そんな話でした。
 聞くと、今回は地方公営企業に関する話題のようです。ただ、私の方からは細かいことというよりも、「公会計」という分野で何をしようとしているのか、どんな団体・法人が対象となり、どのような課題があるのか、といった大まかな話をさせていただきました。
 公会計(というより会計そのもの)の目的の一つは、説明責任です。株式会社であれば株主が拠出した資金を活用して、企業活動が行なわれる。であれば、拠出をしてくれた株主に対し、どのような成績で、今どんな状態かを説明しないといけない。
 人を紹介してくださった方には、その顛末がどうなったかを報告しますよね。これだって、ごく日常において行なわれている説明責任の1つでしょう。
 自治体も同じで、住民から税金を徴収する。であれば、税金を納めた住民に対し、どのような運用をしているかを説明しないといけない。納税という「拠出」は、会社に対する株主の拠出よりも、強大な権力に基づくものです。言い換えれば、国や自治体による強制的な財産の徴収とも言える。従って、本来は、より厳格な説明責任が求められてしかるべきでしょう。
 問題は、誰が説明責任を果たすのか。
 まず思い浮かぶのは、会社で言えば社長、自治体で言えば首長でしょうか。組織のトップですから、説明責任を持つのは言うまでもありません。
 では、会社の取締役はどうでしょう。自治体の議員さんはどうでしょう。
 取締役は株主総会で選任されますし、議員さんは選挙によって選ばれます。某市長が、いたずらに「民意」を振りかざしていますが、それを言うなら自治体の議員さんだって、「民意」に基づいて選ばれた皆さんです。
 そう考えると、取締役や議員さんにも選んでくれた方々に対する説明責任があると言えるのではないでしょうか。
 冒頭の議員さんが勉強会で何を学ばれるかは分かりません。ただ、少なくとも、議員さんの中で会計を勉強しようという雰囲気が醸成されてきたことは、決して悪い動きではないと思います。
 公会計だって、総務省の方針のもと、ただ作っただけでは何も浸透していきません。1人ひとりの議員さんが自覚を持って会計を学び、住民の皆さんに説明をして歩く。そんな動きが少しずつでも広がっていくといいなと思います。


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