2014.01.11

見出しと中身と

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
 1月3日の京都新聞。京都市と大津市が抱える課題を概観するとともに、その対応を迫る内容の記事が掲載されました。
 タイトルは、「改革にスピードを」。
 「待ったなし」から「待ってくれ」にブログタイトルを改題した私としては、「うーん、なんだかなあ」と考えてしまうタイトルです。
 少し嫌な気分を抱えつつ読んでみたのですが、どうも様子がおかしい。特に大津市では、様子がおかしすぎる。。。
 大津市は、相次ぐ職員不祥事の防止対策、庁舎整備問題、ごみ焼却施設廃止に伴うごみ減量推進など、多くの課題を抱えているそうです。
 たとえば、庁舎整備。耐震性の問題があるようですが、170億円の費用をどう捻出するかも問題で、議論も十分ではなく、「市民の意見を十分に聞くことが重要だ」。
 たとえば、ごみ処理問題。ごみ減量対策が必要だけれど、現状、県外施設に頼っている。市民生活への影響も大きく、「市のごみ焼却施設の体制を抜本的に見直す必要も出てくるだろう」。
 たとえば、観光や産業振興については、「腰を据えた取り組みが必要だ」。
 もういいですよね。「十分に聞く」とか、「抜本的に見直す」とか、「腰を据えた取り組み」とか、どれもこれも時間がかかることばかりです。いや、それでいいと思うのです。記事の指摘自体はおかしくないでしょう。そもそも、市民生活に関わる問題が、そんなに急速に進展していいとは思いません。いろんな利害の人がいますし、自分自身の生活を考えても、何かが「急激に」変わることについていけるのかというと、そうでもないような気がします。
 時間をかけつつ、ゆるゆると変えていく。それがいいと思うのですが、記事のタイトルはスピードを求めている。そこだけを見た人は、どんな印象を持つでしょうか。改革が進んでいないという否定的な印象を持つのではないでしょうか。
 実際に進んでいるのかいないのかは、私には分かりません。ですが大切なことは、課題の認識、住民と行政との間の共有、そして住民も参加しつつ徐々に変化させていく仕組みだと思います。
 昨日、たまたま本屋さんで目が合って『来るべき民主主義』(幻冬舎新書、國分功一郎さん)を買いました。少し長い「はじめに」を読みましたが、國分さんは民衆が立法権だけでなく、行政権にも関われる制度を整えていくことが重要、と説かれています。その前提として、主権を立法権と定義し、立法権ですべてを制御出来るとしてきた近代政治哲学に問題がある、と。
 小平市の住民投票についてから本論がスタートしますので、また読み終えて、機会があればご紹介したいと思います。


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