2014.12.08

地方創生?

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
 ここ数か月でしょうか。「地方創生」という言葉が、政治家やメディアで語られるようになりました。
 東京の一極集中を是正しなければならない。
 地方が元気で、人を集める力を持っていなければならない。
 そう言えば、政府が「まち・ひと・しごと創生本部」なるものを創設し、11月21日には、地方創生関連法案が国会で成立しました。石破大臣コメントの「地方創生においても、地方が自ら考え、責任を持って取り組むことが重要です」という部分は理解出来ます。
 ところが、その直後に「地方のしっかりした取組には、ビッグデータに基づく地域経済分析システム等の情報支援や、国家公務員等による人的支援、更には財政支援により、国も全力で支援してまいります」と続くのが、どうもよくわかりません。
 地方がしっかり取り組みなさい。
 でも、国が管理していきますよ。
 そんな意味合いでしょうか。
 昨日の日経新聞には、補助金によって失敗した地方活性化事例が紹介されていました。補助金で商業施設を作ると、直ちに経営が悪化する。そのからくりは、
・予算獲得のため、不必要なほど事業規模拡大
・施設を作ることが目的化
・途中で中止や縮小が出来ない
だと。
 常識的に考えても、もらったお金と自分のお金のどちらを大事にするでしょう。もらったお金に対する規律が緩むのは、必然。もらったお金の使い方に節度を持つためには、それなりの意識と仕組みが必要なのだと思います。
 記事で不思議に思ったのは、これまでそれだけの失敗例があるのに、今また国主導で地方創生が叫ばれていることです。
 そのことについて、たまたま同じ昨日、なるほどと思った記述に出会いました。思想家で武道家の内田樹(たつる)先生のブログです。
「政府がここに来て慌てて「地方創生」を言い始めたのは、地方の経済的てこ入れという目的以外に、政府・自治体・企業主導で地方の経済活動を抑え、個人や中間共同体主導の「顔と顔の」交易活動の広がりを許さないという狙いもあると私は見ている」。
 この考え方の正否は、私にはわかりません。
 ただ、こういう考え方もあるのだという「思考の枠組み」に、いつもながら唸らされています。
 地方創生を国主導で行なう。この論理矛盾をどう考えればいいのか。少し関心を持って考えていきたいと思っています。


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