2014.11.02
地域創生の枠組み
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
日経新聞に「大機小機」という小さな4段のコラム記事があります。記者なり、学者なり、専門家が、実名を隠したペンネームで語るコラムです。
一時期、毎日欠かさず読むようにしていましたが、今では、そもそも日経新聞を毎日読むことも怪しくなってきました(現に昨日は読んでいません)ので、気が向いた時に読むようにしています。
中でも、ペンネーム「隅田川」さんの書く文章は、内容も、構成も素晴らしく、一時期は紙に書き写していたこともありました。
その隅田川さんが、10月24日に取り上げられた話題が、地域創生です。
政府が進める地域創生政策。安倍さんの演説にも、大山の地ビールや隠岐のさざえカレーといった成功例が登場したのだとか。
ところが、成功した自治体のまねをして、別の自治体が成功したという話を聞かない、と隅田川さん。その原因として、2つほど挙げられました。
1つは、成功事例をそのまままねしてもうまくいくはずがない、ということ。同じ資源があるかないか、今の現状はどうか。すべては個別事情ですから、そっくりそのまままねができるはずがない、と。
もう1つが、外見的に把握できる要件だけで成功できるとは限らないこと。成功した地域に共通しているのは、物事を進めていく強いリーダーがいること。あるいは、外部からの若者を受け入れたこと。
こうした条件がそろわないと地域の活性化は難しく、かつ、こうした条件がそろっても必ず地域が活性化するとは限らない。
隅田川さんは、そうおっしゃっています。
まったくそのとおりだと思います。そして、私の心と体が、ノウハウ本を受け付けないのも、きっと同じ感覚なのだと思っています。
すべては個別事情。地域にも個別事情があり、人にも個別事情がある。それを、雑に括って、こうすればうまくいく、これがノウハウだ、などという発想自体が間違っているのではないでしょうか。ノウハウ本から学ぶことがあるとすれば、その成功事例は著者の個別事情である、という意識付けというか、思想の枠組みだと思います。
ノウハウではなく、枠組み。その枠組みを意識した地域が成功し、枠組みを述べた本が古典として読み継がれるのだと、私は思っています。