2016.02.07

周防大島への移住

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 1日の日本経済新聞に、「山口・周防大島の移住者誘致 人が人呼び起業の連鎖」という記事が掲載されました。

 人口1万8千人。みかん栽培や漁業が中心の瀬戸内海に浮かぶ周防大島で、転入者が転出者を上回るなど、移住者の注目を集めているそうです。その肝となっているのが、人と人のつながりで、実際、周防大島で起業された方の話も紹介されていました。
 
 
 へえ、周防大島かあ。そう思ったのですが、そこには伏線があります。昨年9月、ミシマ社という小さな出版社が『ちゃぶ台』という雑誌を発刊されました。ミシマ社のサポーターのもとに届けられたその雑誌に、私は深く感動しました。

 まずは、その装丁や仕上げ。ポンとテーブルに置いてもページが上がらず、手で押さえる必要がありません。

 で、その内容(特集)の1つが、「移住のすすめ」。周防大島で講演された内田樹先生の言葉が「街場の農業論」として収録されています。

「日本には豊かな自然環境があります。そして、近代的な都市がある。その中間に、この周防大島のような「里山」というエリアがある。里山の機能は、文明と自然の間にあって、両者を架橋する「緩衝帯(バッファ)」であるということです。自然が文明を侵略してきたときは自然を押し戻し、文明が自然を侵略するときは文明を押し戻す。両方がバランスよく共存できるように、自然と文明の間を取り持つこと、それが第一次産業の人類史的な役割です」(P.27-28)。

「・・農業が本質的に「定常経済」をめざすものである以上、これを「経済成長」「右肩上がり」スキームである資本主義市場経済に組み込むことは原理的には不可能だと僕は思います。
・・(中略)・・
 農業は「里山という生産環境を定常的に維持する」ためのものです。あくまで最終目的は自然の生産力、繁殖力の定常的な維持であって、右肩上がりに収益を増やすことではない。でも、いま日本で進められているのは、農業の企業化です」(P.30-31)。
 
 
 私の住む宇治も、きっと「里山」なのだと思います。宇治橋からの景色は、いつ見ても変わりません。そして、主要な産物はお茶。たまに仕事帰りに駅に降り立つと、お茶の香りが漂ってくることがあります。ああ、帰ってきたなあ。と言葉には出しませんが、無意識のうちに意識しているのではないでしょうか。

 日経新聞の記事は「起業」「経済」という視点で描かれていましたが、「里山」「農業」という視点で訪れてみたい周防大島です。


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