2016.03.15
租税法
おはようございます。
先週一週間と昨日まで、朝から夜まで昼以外は外出することなく事務所に缶詰め状態で期限が迫ってた法人税申告書作業及び所得税確定申告作業に追われ、今年もなんとか確定申告を終えることができましたが、ほっとする間もなく様々な業務が待っており、当分は落ち着かない感じです・・・。
その所得税計算過程において基礎控除額が38万円と所得税法に定められております。
毎年、年末調整や所得税確定申告の作業を行う中で、各納税者情報を税務計算ソフトに入力すると、基礎控除額38万円は何の疑いもなく当たり前に適用されます。
そんなこんなで会計事務所で働き始めて数年後、税法を学ぼうと社会人大学院に入学、租税法を専攻し、租税法のバイブルと言われる東京大学法学部金子宏先生著の超分厚くて重た過ぎる「租税法」という本をお供に、関西の租税法大学教授の重鎮である教授の元で租税法とは何ぞやというイロハから学び始めた時に、基礎控除額はなぜ38万円なのか、という問いかけに、今まで考えたこともなかった当たり前のことを、初めて考えるきっかけになった15の春(!?)でした。
食費やら何やらを考慮しての38万円らしいですが、38万円で人が1人1年間生活できるか?いや、無理やろ~~!!!。基礎控除額は制定当時から若干の改正は入っておりますが、そもそもその額に疑問を感じないか、という教授のお言葉に、私は感動しました。
所得税は累進課税であり、高所得者の課税所得1800万円を超える部分については所得税住民税合わせて税率50%超えてきますが、人的控除以外にも、なんやかんや他の所得控除も適用後税金計算されるので、結局、収入(所得でなく収入)に対する税率はそれほど高くない事もあり、基礎控除が38万円であっても、特にそこまで注目はされないというか、それが当たり前でスルーされていることに、改めて考えるきっかけをもらった感じでした。
当時、会計事務所で税務実務に携わりながら税理士試験受験の為に専門学校で税法を勉強しておりましたが、大学院での租税法の勉強は、前述の基礎控除額をはじめ、本当に目から鱗の連続でした。
租税法とは、租税に関する法のことであり、学問としての租税法は、租税に関する法の体系的・理論的研究を目的とする法律学の独立の一分野である(「租税法」より)。
そもそも日本の税制の確立とはどのようなものであったのか、シャウプ勧告から始まり、なんやかんや・・・zzzzzz・・・・・(詳しくは金子宏先生著「租税法」をご参照ください)。
租税に関する裁判例を基に、課税庁側と納税者側に分かれてそれぞれ税法理論を構築し、お互いにディベートを行うゼミなど、今でも鮮明に思い出します。
実務や机上の勉強を行っているだけでは知らなかったであろう相手を納得させる理論構築等を学び、その時の経験は今現在役に立っているとしみじみ感じます。
ゼミを担当してくださった教授は、租税法の研究に熱い情熱を注いでおられましたが、冷静であることを常とし、ゼミ仲間でのモットーは「Warm-heart&Cool-head」(大学院時代の同期O君、拝借しました~)、大切なことを学びました。
家の本棚に鎮座している「租税法」。
これからも、税務実務に従事するうえで、「租税法」は基礎であり基本であり、迷った時はここにたち戻ってくることを常に心がけてやっていこう、と改めて思いました。
米田 彩