2019.08.02

不正

みなさん、こんにちは。

先日、不正事件の調査に東京まで行ってきました。

 

不正や詐欺事件の調査をやらせていただくことはたびたびあり、テレビで話題になっていた

事件など、資金の流れがどのようになって、どこへ消えて行ったのか?ということを、

追跡します。

粗末な帳簿や現物を見ながら推測して、事実を追いかけるというような作業は気が遠くなる時も

ありますが、真実に到着した時の快感は特別なものがあります。

また、再発防止策を考えて、実効性が出てきたときも嬉しいものです。

 

時には、弁護士さんや警察、裁判官などとも協議しながら進めることもあり、

高い緊張感をもって対応することが求められますが、私は結構、有事の時の方が

向いている(好き?)かもしれないなーと思うことがあります。

 

調査の過程で、犯罪を犯してしまった人に直接会って話を聞くことがあります。

中には、死の直前になっている犯罪者に、病院の個室まで行って話を聞くこともありました。

 

今まで何名もそうやって犯罪を犯した方に対して、お話を聞いてきましたが、

やはり、大きく2つに分かれるなと思っています。プロと素人です。

 

犯罪のプロは、まさに堂々としたもので、お話を聞いていても、またいつか、どこかで

やるんだろうな、という雰囲気が出ています。

 

私が一番話を聞いていて気の毒になってくることが多いのは、素人の犯罪者です。

会社の架空の領収書を作って現金を横領した、会社の物品を中古買取り屋で売却した、

下請け先からキックバックを受けていた、とか。

いずれも、犯罪であることには変わりありませんが、一方では、会社の管理体制がきっちり

していて、そういう犯罪が起こらないような環境ができていれば犯罪者は生まれなかった、

かもしれない。

 

多くの犯罪者の方には、消費者金融に借金がある人が多いです。あるいは、連帯保証人になった

ために借金返済の肩代わりをしていたり、家族にそういう人がいるので支援しているとか。

また、一方で遊び好きの犯罪者は、給料のわりに、良い車や家、時計を持っていたり、やたら友人

や会社の同僚に食事をおごったり。

これらは、私の経験上、多くの素人犯罪者に共通していると思います。

 

色々な事情で、お金が欲しいモチベーションはありますが、そういう時、目の前にニンジンが

ぶら下がっていたら。。。

あの人が!まさか!と、周辺の皆さんはだいたいそうおっしゃいますが、そういう心の一瞬の隙

を狙って、悪魔が入り込んでくるんでしょうね。

 

だから私は、『会社から犯罪者を出さない』ということが会社の内部管理体制の発想の基本で

あって、目の前にニンジンがぶら下がっていない会社を作ることが、従業員の平和にもつながって

きます。

 

犯罪は絶対にしてはいけない。

だから、犯罪が起こらない管理体制を構築しておくことが、会社として最も重要なことです。

 

厳しい管理体制の会社は、それだけ従業員を愛している、とも言えるでしょう。

人は性善説で接して、会社のシステムは性悪説で構築しないといけない。

『私はあなたが悪いことをする人だとは思っていない。でも、会社の管理システム上確認させて

いただかないといけないルールになっているので申し訳ありません』

 

これが私の考える正しい管理体制です。

 

犯罪者を出して、対応策に追われて内部管理体制を事後的に構築するのではなく、

経営者の皆さんは、犯罪が起こる前に、積極的に性悪説に基づいて管理体制を構築する

必要がある、と思っています。

 

勇気のある先行投資ができる経営者がどれほどおられるか?

実務上は、まだまだなのでしょうけれど、これを増やして不正を1つでも2つでも

減らすこともエアーズの使命かなと思います。

 

井上 豪


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