2008.12.29
今こそ原価管理強化の時!
10月以降、サブプライムローンを発端とする世界同時不況についてのセミナー依頼が増加しています。昨日も夕方4時から2時間ほど某W社にお伺いしてセミナーを開催しましたが、皆さん非常に興味深く聞いていただき、今後の会社としての方向付けに役立たれたのではないかと思っています。
さて、よくセミナーの際に『では、今我々は何をすれば良いでしょうか?』という質問を受けます。会社レベルか個人レベルかで話は変わると思いますが、会社レベルで言えば大きく以下の2つ。
1.原価管理(利益管理)の強化
売上がダメなら原価を抑えて利益を出すしかない。まずは原価の中にある無駄を削ることからスタートして最終的に人に手をつけるべき。そのためには、自社の費用構造がどうなっているか、どの事業でどれだけ利益を稼いでいるかをしっかり把握できる管理体制を構築しておくことが重要。
2.円高利益の享受
海外調達の増加、海外案件のM&Aが考えられます。昨今、日本企業の海外企業M&Aが増加してきています。
特に、1についてはまさに今取り組むべき課題であると考えます。日本の多くの中小企業では原価管理が十分とは言えません。原価管理は製造業だけに求められるものではなく、例えば病院やホテルなど製造業でない業種にも重要です。どの事業でどれだけコストがかかって、どれだけ利益が出ているかを把握しておくことは、会社としての次の一手を考える際に非常に有用な情報をもたらしてくれます。
たとえば、病院でよくあった事例ですと、総合病院の多くは内科の売上がトップです。しかし、原価を分けていないため費用と利益は病院全体でしかわかりません。診療科別の原価計算を導入し、どの科でどれだけ利益が出ているかを算定してみると、何と内科の赤字がダントツで大きかったのです。つまり、売上も一番だが赤字も一番だったのです。ふんぞり返っていた内科の科長様も、当初はお怒りの様子でしたが計算方法を説明すると納得された様子で、原価の無駄の改善に1年間注力されました。
結果、1年で相当のコスト削減が実施され、利益に大きく貢献されました。病院の場合は特に理系の方が多いので数字にして表すと理解が早く、対応も迅速であったように思われます。
原価管理の強化には、以下の機能があると私は考えています。
1.利益の源泉及び不採算事業(契約)を把握
2.健康診断的機能
→月次で管理することで、悪い箇所がすぐにわかって傷の浅いうちに治療が可能。
3.非属人化機能
→ベテランの原価管理ノウハウを形に残し、会社として引き継げる状態にしておく。
4.適切な売価設定機能
→適切な原価が把握できるため、欲しい利益さえわかれば、あるべき売価を自動的に決定できる。
5.モチベーションアップ機能
→がんばっている従業員については、それが数値として表れてくるため、人事考課に反映させることでモチベーションアップにつながる。
皆さん、積極的に原価管理の強化にチャレンジされることを期待しております。