2009.02.06
離婚履歴は消える???
こんばんわ。
昨日の夜に行われました信託の勉強会後の自由質問で、クライアントの社長に聞かれたことを司法書士の伊達さんに聞いてみました。
クライアントの社長様の質問とは、最近離婚した女性が戸籍上離婚履歴が残らないようにうまくやっているというものでした。そんなことが果たしてできるのでしょうか??
答えは、『できる』でした。
これは、本籍を移動させることによって可能になるそうです。本籍というのは、住んでいるかどうかにかかわらず、どこに置いてもよいですから、例えば皇居に本籍を置いている日本人もたくさんいるようです。
この、本籍をいったん別の場所に移転し、それからまた元の住所地に戻すということをすると、本籍と住所が一致した状態で、過去の離婚履歴が消えた、きれいな戸籍謄本が出来上がるというわけです。
では、過去の離婚履歴を知るのはお手上げか?というと、実質的にはお手上げに近いと思っています。ただ、戸籍謄本には今の場所を本籍にする前はどこが本籍地だったかが書いてあります。ですから、それを見て、1つ前の本籍地に行って手続きをすれば、その時の戸籍謄本が見られるのですが、何度も本籍が移転していたら大変な作業になりますし、本人以外の人が見ようとしても、専門家(司法書士等)の業務でない限りは当然見ることはできません。
それに、フィアンセに『戸籍謄本見せて』なんて、なかなか言えませんよね。
でもこれって、実は怖いことなんです。
それは、相続の時に、実は初婚と思っていた配偶者に離婚履歴があって、しかも子供もいたなんていう場合、配偶者を介してその子に自分の財産が相続されてしまう可能性があるからです。
例えば、以下のようなケースです。
(登場人物)
・本人
・配偶者(妻)
・長男
・配偶者(妻)の前夫
・配偶者(妻)の前夫との間の子
この場合、本人の死亡により財産は配偶者に2分の1、長男に2分の1が相続されます。
次に、数年して配偶者(妻)が死亡した場合、配偶者(妻)の財産は長男に2分の1、前夫との間の子に2分の1が相続されてしまいます。
本人の財産が、妻を通じて前夫との子に流れていってしまうわけです。金銭ならまだましかもしれませんが、会社の株式となると話はややこしくなります。
前夫や前妻との間にできた子供は、その後新しい夫や妻をもらって養子縁組してもらったとしても、相続権は残り続けます。これは、一般的な感覚とはずれているかもしれませんが、あくまで血縁が重視されます。離婚して、子供を女性が引き取り、新しい旦那様と幸せな生活。子供は幼いので新しい旦那を本当のお父さんと思ってなついている。そんな時に、前夫が死亡した場合、子供に相続権があることから、嫌でも自分の本当のお父さんは別人で、しかも死亡したと伝えられる。最悪は、前夫が多額の借金を背負っているため、相続放棄の手続きをとるケースでしょうね。本当のお父さんは別の人で、しかも死亡した上に多額の借金を背負わされそうになり相続放棄の手続きをさせられる。。。
子供にしたら、寝耳に水の話ですし、精神的ショックは相当のものだと思います。
日本の相続の制度って、かなり血縁を重視していているんだなーと痛感しました。
これから結婚される方、ぜひご注意を。