2010.03.28

会計士就職難

ご無沙汰しております。
今日は、会計士の就職難の問題について書いてみたいと思います。
ご存知の方も多いかもしれませんが、会計士の合格者が就職難に
陥っているという状況です。
ニュース番組でも結構取り上げられ、ちょっとした話題になっています。
私が合格したときは、確か670名ぐらいの合格者だったと思いますが、
近年は3,000名を越える合格者が出ていました。受験者数も昔の倍ぐらいに
なっていると思いますが、合格率がやはりupしています。
これは、日本に内部統制監査制度(いわゆるJ−SOX)や四半期決算が導入
されるに際して、確かに会計士が不足していた(約3年前)ことから、合格者が
増加したと思われますが、大幅に増加しました。
その高い合格率のまま、3年ほど合格者が多い状態が続き、とうとう大量に
合格しても受け皿がないという状況はわかっていましたが、今年度も大量に
合格したというわけです。
合格した会計士を本来受け入れるべき監査法人は、補助金等を一切もらわない
普通の民間企業ですから、大量の合格者を出したところで、自社の収益を圧迫
するようになれば、当然生き残るために採用を減らします。
それで、今回のような大量就職難となったのです。
その対策として、民間企業への就職をあっせんするという策が取られ、会計士協会は
一生懸命に宣伝しています。
私は、これに大反対です。
理由としましては、
1.机上の勉強だけして1民間企業に就職するのであれば、単なる会計のスペシャリスト 
  であり、それであれば簿記検定1級で十分である。
2.会計士の優位性は、会計監査を通じて複数の大企業の管理手法や会計的な発想を勉強   できることにあり、それを中小企業等の経営に生かせるよう指導することも社会的使命であ  ると考える。
3.会計士である以上、監査報告書にサインができることが特徴であるが、いきなり民間企業  に就職して監査経験のない会計士が、サインをできるような環境を作るべきではない。
従いまして、私が考える今後のあるべき会計士業界の対応としては、
1.合格した会計士は、まず監査法人に強制的に入社させ、修了考査までの3年間は監査に  従事する。修了考査に合格し、『公認会計士』となった後は、退職して民間企業に勤めるな  り、独立するなり好きな道を選べばよい。
2.大切なことは、監査法人に勤務する会計士が独立しやすい環境を整えることであり、ベテラ ン会計士がいつまでも監査法人に残っているような環境ではフン詰まり状態となる。ベテラン が退職して独立し、空いたスペースに新人がどんどん入っていけるようにする必要がある。
3.しかし、アメリカのエンロン事件以降、今の監査法人は監査以外の業務(コンサルティングや財務調査など)を原則としてしてはならないため(監査以外の報酬ももらうことで監査が甘くなるとの指摘による)、監査法人勤務時代は、本来独立後に必要と思われる税務や調査に関する経験を積めない環境になってきている。これが、独立を遠ざける大きな要因になると思われる。
4.監査しか知らない監査法人の会計士が安心して独立できるようなシステムが必要。
そこで、私は『公認会計士丁稚(でっち)奉公制度』を実施したいと考えています。
これは、独立したいと考えている監査法人の会計士を2〜3年限定で、エアーズで受入れ、
調査や税務(税理士法人のヘルプ)などの業務を経験して、独立するのを支援するという
制度です。まだまだ弱小会社ですので給料は安めですが、しっかり修業を積んで、自分の故郷へ戻り、地元の企業の育成に寄与してほしいと願っています。
公認会計士の約半分は東京で勤務し、確か3割程度が大阪・名古屋だったと思います。
つまり、1から2割程度しか地方に会計士がいないことになります。
日本の国からもっと優秀な中小企業が誕生できるために、もっと地方に会計士が定着して、
企業の育成に関与できる環境を整備すべきだと考えています。


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