2011.04.15
日本企業の決算
みなさん、こんばんは。
3月決算がいよいよ本格化してきました。
確認ですが、そもそも決算とは何でしょうか?
学校でもそうでしたが、何でも一定期間を区切ってその期間の成績を
見たいものです。
1学期、2学期、3学期。そして年間。
同じように、企業でもある一定期間を区切って、その期間の会社の儲け(もうけ)
のチェックをする必要があります。
日本だけでなく、海外においてもこの『期間』については、原則として1年と
法律上定められています。
次に問題となるのは、その1年をいつ〜いつまでとするか。
アメリカでは1月〜12月という会社が多く、中国も同じです。中国では全ての
会社が1月〜12月決算というように決められていたと思います。
日本では会社設立の段階で、決算期間をいつ〜いつにするかを決めますが、
ほとんどの企業が3月決算です。
実に、有価証券報告書を提出している企業(主に上場企業)、全4,419社
のうち、3,087社が3月決算(『会計・監査ジャーナル』2010年7月号p.155より抜粋)
です。
ざっと、70%の企業が3月決算というわけですね。
ですから、我々のような会社の数字を作ったり、チェックする仕事をしてますと、4月〜5月は
大忙しとなるわけです。
ではなぜ、3月決算が多いのか?
やはり、最有力候補は国や地方自治体が4月〜3月決算であることでしょう。
国や地方公共団体からの受注企業は3月にドカッと売り上げが上がる傾向にあります。
したがって、その下請け企業も3月決算にしておいた方が何かと便利なんでしょう。
その他の理由としては、昔流行った『総会屋』対策です。
みんな一緒の決算日にして、株主総会を集中した日にすれば、総会屋もバラけて
会社の決算に来にくくなるだろう、ということです。
総会屋とは、上場企業などの株を買って株主として株主総会(決算日から3カ月以内に開催)
に出席し、その場を混乱させる人です。最近はあまり聞かなくなりましたけどね。
また、3月決算企業が70%もあるため、会計や税務の法律改正が4月1日〜適用、なんて
いうことが多いのも、3月決算企業が多くなる理由になっているのかもしれません。
ただ、百貨店などの在庫の多い企業は、棚卸の手間を省くためにあえて在庫の少ない
2月や8月末を決算日とする会社も多いです。決算日には、会社にどれだけの在庫があるかを
実際にカウントする必要がありますので、その手間を減らす目的ですね。
以上は、主として上場企業の話ですが、中小企業となりますと、
3月決算会社以外の会社も多いように思います。その理由は、中小企業の場合、
顧問税理士さんの意向が強く反映されることが多く、税理士さんは年間作業の平準化をしたい
ですので、特に企業に強い希望がなければ、5月決算とか1月決算とかにして、顧問先
企業の決算期を分散させたいというモチベーションが働きます。
また、中小企業の株式は上場企業と異なり誰でも購入することができませんので、
総会屋対策も特に問題ないからです。
企業も人間もそうですが、成長していくステップに応じて、色々なことを考えなけれな
なりません。
次のステージでは何が求められ、どのようなリスクがあるかを事前に十分調査し、
次に進むための準備を万全にしておくことが、企業のみならず、個人の成長のためにも
重要なことであると思います。
井上 豪