2011.09.04

商い(飽きない、秋ない)

みなさん、こんばんは。
今週の水木と淡路島に出張に行ってきました。
今の時期、淡路島の由良港では『赤うに』と呼ばれる貴重なうにが
採れまして、それを出してくれるおいしいお店があります。
『春夏秋冬』というお店で、別名『いしい』とも呼びます。
ひょっとしたら『いしい』が本当の店の名前かもしれませんが、
いま一つ定かではありません。
大将が、石井さんであるということは確かです。
この大将は、京都の老舗で修行され、京都の良さを故郷の淡路島に
持ち帰りつつ、淡路島の住民に合わせた味付けで料理を出してくれます。
地元の漁師から確実に良い食材だけを仕入れ、リーズナブルにみんなに
振舞うので、いつも満員のお客さんです。
店の広さは、1階のカウンター3〜4名、座敷12名程度の小さなお店です。
2階は宴会場ですが、1階の面積からしてせいぜい20名程度までの宴会だと
思います。
出張の今週水曜日の夜に、一緒に仕事をしている廣瀬君と食べに行きました。
ところが、たくさんのお客さんで、唯一空いていた席が、
『予約席』の札が立てられていたため、玄関付近で諦めかけていたところ、
大将が顔を見て思い出してくれたようで、予約席を空けてくれました。
ええんですか?と聞きましたが、『かまへん、予約の人はカウンターに
座ってもらうから』とのこと。
淡路出張のたびに、半年に1度ほどお伺いするのですが、すっかり顔を
覚えてくれてうれしいですね。(よっぽど呑んでいるのでしょうか??)
めでたく乾杯し、お目当ての『由良港 赤うに』をいただきました。
これは最高においしかった!何ともうまく表現できませんが、
ぜひ、機会があれば9月末ぐらいまでに行ってみてください。
7月から9月末ぐらいまでしか水揚げされないと聞いています。
適当に食べ始めてから、一緒に行った廣瀬君がミル貝が水槽にいるのを
見つけ、ミル貝を注文したところ、しばらくして、『ミル貝は、殻を割ってみたら
あまり良いものではなかったので、お出しできません』と。
大阪のお店なら、黙って出してくるところでしょうが、最後の1個だっただけに、
残念ですが、諦めました。
お客さんが減ってきた10時頃から大将と京都談義で花が咲いて、京都の
老舗の苦労話や大将のこだわりなどをお伺いし、楽しい時間を過ごさせて
いただきました。
そんな中、ミル貝の話になり、大阪なら少々傷んでいても絶対に出してくる
と思いますが、なぜ出さないのか?と聞いてみました。
答えは、お店が長続きしないから。
京都の老舗で修行された大将は、一時の儲けのために悪いものを出すと、
お客は絶対に離れていくという、京都の精神をしっかり身につけられて実行
されていました。だから京都のお店は何百年も続いている店が多いんだと。
大将の思いは、『皆さんに、飽きられずにいつまでも可愛がっていただける
お店でありたい。』
お店の壁には『春夏秋冬』と書かれた大きな色紙が飾られています。
しかし、黒い筆で書かれている中、『秋』だけは赤い筆で書かれています。
なぜかと聞きますと、
『本当は、「春夏 冬」にして、「秋」は書きたくなかった。秋がないから、
飽きないと。みんなが飽きない店でありたいから。でも、島の人に言っても
わかってもらいにくいから、赤字で「秋」を追加した』
ということでした。
昔、母校の大津商業高校の校長先生が、
『商いとは、もともと「飽きない」から来ている』
と言ってくださった言葉を思い出しました。
同じ事を飽きずに繰り返せる人が商売人だと。
石井の大将は、商売人だなと思った瞬間でした。
商い=飽きない=秋ない???
ダジャレかもしれませんが、そのユーモアも商売人にとっては大切なもの
かもしれません。
最後のお客さんになっても、大将とのお話が続き、ついついご迷惑をおかけ
してしまいました。おまけに、ビジネスホテルまで大将に車で送っていただき
まして、大変恐縮でした。。。
皆さんもぜひ、9月いっぱいでしたら、『由良港 赤うに』が食べられると思いますので、
大将に会いに行ってあげてください。
井上 豪


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