2025.06.10

静けさを楽しむ

6月ですね。
相変わらず祝日がひとつもないのに、天気は毎日のように雨が続くそうです。

朝起きても、どこか体が重たくて。
ベランダに出ると空気は湿っていて、前髪が少しべたつく。
気分が上がらなくても無理はありません。
むしろ、この時期にやる気満々な人がいたら、ちょっと引いてしまうかもしれません。

でも、そんな6月が、私はわりと好きです。

この前、雨の日に近所の公園を歩きました。わんこと一緒に。
傘をさして歩く人も少なく、空気は冷たくて、聞こえるのは雨の音だけ。
すぐ横の道路を車が走っているはずなのに、その音がやけに遠く感じる。
あの感覚が好きだったことを思い出しました。

気分が上がらなくても心地よいのは、世間もどこかスローな空気をまとっているからでしょうね。

夏になると、そんな甘っちょろい世間ではいられません。
「遊ばないと!運動しないと!何かしないと!」
花火にフェスにバーベキューに旅行。
CMやイベントに煽られ、毎週のように予定が入ります。

もちろん楽しいけれど、少し騒がしすぎて、自分を見失いかけることもあります。
晴天に浮かぶ入道雲に、世界の広さを改めて思い知らされます。自分はちっぽけなんだなあと。

やはり、一日中、靄がかったような薄暗い6月が、ちょうどよい。
空こそ低いけれど、半径数メートルの世界がよく見えますから。

外に出るのが億劫なら、家で好きなコーヒーを淹れて、読んでいなかった本を開く。
好きな音楽をかけて、好きな香りを焚いて、昼寝する。
それが、いつも以上に許される季節です。

世間がスローなら、逆にちょっとだけ頑張ってみても、疲れないかもしれませんね。

とにかく、夏に向けて心と暮らしを整える、静かな準備期間としての6月は、本当に素晴らしい。
気分が乗らないなんて一言で片づけてしまうのはもったいない。
この6月の沈黙の中には、案外、豊かな時間が流れていますからね。



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