2016.12.28

働き方改革の行方

今年後半の話題の一つとして、国が旗を振って進めようとしている「働き方改革」があると思います。この働き方改革の柱の一つに「長時間労働の削減」が掲げられています。特にここ最近長時間労働の削減が声高に叫ばれるようになったのは、言わずと知れた某大手広告代理店で発生した事件が発端であることは間違いないと思います。

長時間労働はなぜなくならないのか。この手の議論もたくさんされていると思います。私も仕事柄、長時間労働削減に関するコンサルティングをさせていただくことがあるのですが、個人的には慢性的な長時間労働が発生するメカニズムとして①早く帰りづらい雰囲気がある②そもそも所定労働時間で帰れる働き方をしていない③個人的事情④所定労働時間内では終わりきらないほど仕事量が多すぎる、等が挙げられると思っています。

それぞれ少し解説を入れると、①はよく言われるのが上司が帰らないから帰れない、上司が長時間労働を美徳とする価値観で働いている、ということが言えると思います。②は①にも関連するのですが、どうせ早く帰れないからと時間当たりの生産性をわざと下げて働いている、要するに例えば所定労働時間がが9時-18時(休憩1時間)だったとして、8時間で終わる働き方をしても何やかんやと上司から言われて結局定時には帰れないから、だったら時間調整をしながら大体帰れそうな時間に終われるような仕事の仕方をしてしまうということです。③は家に早く帰りたくないからダラダラと仕事をしてしまう、家に居たくないからスーパー早出出勤(朝6時前後)をするということが挙げられるのですが、この理由も意外と多いと思います。④は常に個人の能力を超えてしまっている仕事量が与えられていることを言っています。その会社にとっての繁忙期に労働時間が多くなるのはある意味仕方がないことなのかもしれませんが、常に仕事量が多いというのは何らかの問題があるのだと思います。

上記以外にも現実的ある長時間労働の理由をどうやって解消していくのか。法律で長時間労働に対する罰則を重くするのが手っ取り早いのかもしれませんが、やはり各企業が労働者の時間当たりの生産性を上げる努力をしないといつまでたっても解消しないような気がします。もちろん自助努力だけでは限界があると思いますし、企業の垣根を越えて川上から川下までタッグを組んで取り組まないと解消しないこともたくさんあると思います。

働き方改革策として国はどのような方策を出すのか。とても注目しています。

特定社会保険労務士 小西 勝


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