※本記事は掲載日時点の情報を元に作成しておりますが、一部私見を含む場合があります。
内容については必ず公的機関等から出されている情報を確認するようにしてください。
令和8年度税制改正大綱では、企業グループ内における取引の透明性確保の観点から、
「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」の創設が示されています。
本制度は、違反した場合には青色申告承認の取消事由等となることから、
多くの企業が気にされている改正だと思われます。
以下では、制度の内容及び実務対応上の留意点について整理していきます。
◆制度の概要
改正では、内国法人が関連者との間で一定の取引(特定取引)を行った場合、
取引対価の算定根拠が分かる書類の作成・取得および保存が求められます。
ここでいう「関連者」とは、「内国法人との間に持株関係、実質的支配関係その他これらに準ずる関係がある者」とされています。
対象となる「特定取引」は、販管費に関連する取引で、主に以下のようなものとされています。
(売上原価取引は対象外)
①工業所有権等(工業所有権、著作権、プログラムの著作物等)の譲渡又は貸付け
②関連者が内国法人に対して行う役務の提供のうち
・研究開発や広告宣伝などの事業活動、専有資産を使用させる行為や維持管理
・経営の管理や指導、情報の提供等
◆保存が求められる書類の内容
大綱では、保存対象となる書類に記載又は記録すべき事項として、当該取引に関する資産又は役務の提供の明細と当該内国法人が支払うこととなる対価の額の計算の明細等が示されています。
具体的には次の2点が重要になります。
①取引内容の明細:契約書でカバーできるケースが多い
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- どのような資産・役務か
- 単価
- 取引時期・期間
- 取引条件
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②対価の計算内容:請求書や内部資料で整理されることが多い
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- 取引価格
- 計算方法(算定プロセス)
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そのため、必ずしも保管書類等の新規作成は必要ではありません。
既存の契約書、見積書、請求書、注文書などに必要事項が記載されていれば問題ありません。
契約書の記載内容を見直す、単価や計算方法の明記を追加する、不足部分のみ補完資料で対応するなど、既存書類のアップデートで対応するケースが中心になると考えられます。
◆ローカルファイルとの関係
ローカルファイルとは、国外関連取引に係る独立企業間価格の算定根拠を明らかにする電磁的記録を含む書類の事です。
記載内容が類似している部分があるため、補完書類等に該当するかどうかを気にされている方もいるかと思います。
結論としては、ローカルファイルがあれば基本的に追加対応は不要と考えられます。
記載内容が今回の保存要件よりも詳細であることや、代替資料として機能することが理由です。
◆まとめ
今回の改正は、新たな書類を大量に作る制度というよりも、「取引価格の説明責任」を明確にする制度と位置づけられます。
適用は令和8年4月1日以後の取引からとされています。
現状の書類を確認し、実務上必要な対応していきましょう。
