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船戸明の公会計改革「待ってくれ!」

助成金をめぐって

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』が話題になっています。今日、雨模様なので家族で見に行こうか。そうも思いますが、さすがにいっぱいでしょうか。

 その是枝監督に対し、文科相が文科省に招いて祝福したい意向を示したというニュースがありました。で、是枝監督はどう反応されたか。

「実は受賞直後からいくつかの団体や自治体から今回の受賞を顕彰したいのだが、という問い合わせを頂きました。有り難いのですが現在まで全てお断りさせて頂いております」。

 その上で、文科相の話に対しても。

「映画がかつて、「国益」や「国策」と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大げさなようですがこのような「平時」においても公権力(それが保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています。決して波風を立てたいわけではないので「断った」などとはあえて口にしないでおりましたが、なかなかこの話題が収束しないようなので、本日ここに公にすることにいたします」。

(以上、ブログ http://www.kore-eda.com/message/20180607.html より)

 潔い、とひと言で言ってしまっていいのか疑問ですが、でも潔いその姿勢に、ただただ頭が下がります。
 
 
 同じブログで是枝監督は、こうも語りました。

「今回の『万引き家族』は文化庁の助成金を頂いております。ありがとうございます。助かりました。しかし、日本の映画産業の規模を考えるとまだまだ映画文化振興の為の予算は少ないです。映画製作の「現場を鼓舞する」方法はこのような「祝意」以外の形で野党のみなさんも一緒にご検討頂ければ幸いです」。

 政府から助成金をもらいながら、政府とは距離を置く(場合によって否定的に語る)。その態度は矛盾するのでしょうか。虫が良すぎるのでしょうか。

 同じ映画監督で、つい最近、是枝監督との対談番組も放送された想田和弘さんは言います。

「ちなみに、政権批判をする人間は政府から助成金を受け取るべきではないという考え方が愚劣かつ全体主義的であることは言うまでもない。政府=公共とは右から左まであらゆる考えや思想に包摂的であるべきで、右だろうが左だろうが基準を満たしメリットがあるなら当然助成金を得られるべき」(ツイッターより)。
 
 
 私が助成金(補助金)で思い出すのは、本で出合った1つの姿勢です。東京・吉祥寺にある1坪のお店で、羊羹ともなかを60年売り続けてきた「小(お)ざさ」さん。その二代目、稲垣篤子さんの著書『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)で稲垣さんはこう書いていました。

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(P.170)
 先生には、「障がい者を雇用すると、国から補助金があるので申請してください」とも言われましたが、お断りしました。
 もし補助金をもらってしまったら、無意識のうちに「補助金がくるんだから」という思いが心のどこかに生まれてしまい、本当にその子と向き合って、少しでも仕事ができるように一生懸命教えようという気持ちが弱くなってしまうかもしれません。
 そう思って、先生にこう言いました。
「先生がそう言ってくださるのはありがたいけれど、いまのところうちでなんとかお給料を出せますから、補助金はお受けしません」
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 念のために最後に書いておきますが、補助金や助成金を受けることの正否を論じたいわけではありません。

 受けるべき?
 受けるべきでない?

 そういう二元論こそ危険だ、ということは言いたいことの1つですが。

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