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船戸明の公会計改革「待ってくれ!」

未返済分の免除

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 6日の日本経済新聞に「阪神大震災で被災者に貸し付け、未返済分を神戸市が免除」という記事が掲載されました(こちら)。

「阪神大震災の被災者に生活再建のため貸し付けた計約777億円の災害援護資金を巡り、神戸市は5日、未返済となっている約31億円について原則として返済を免除することを決めた。約2千人が対象で、経済状況などを再確認し最終判断する。大震災から20年以上が経過する中、依然として生活が苦しい借り主の負担を和らげるにはやむを得ない措置と判断した」。

 保健福祉局の説明はこちらです。

「返済を求め続けるより、他の重要な市政課題にお金を使う方が有益だ」。

 かなり難しい判断だったのではないかと想像します。担当者の言うことに異論はありませんし、関連議案を審議・可決した議員の皆さんも、そう判断されたのでしょう。

 震災後、神戸市が貸し付けたのは31,600人、777億円。
 その内、6月末時点で返済したのは23,000人、640億円。

 当初、返済免除が認められたのは死亡や保証人の返済不能などに限られたようですが、その後、破産や生活保護、月千円単位の少額返済の場合も追加されたのだとか。

 震災から20年以上という月日を考えれば、今回の免除は妥当な判断ではないかと私は思います。

 一方で、返済した人と免除を受けた人が生まれてしまうことも事実。実際、「大多数の人は借りたお金を完済しており、実質的に未返済分を免除するとした議会の判断には不公平感がある」という識者のコメントも掲載されていました。

 正論だとは思うのですが、私はこうして「返した人」と「返していない人」を分断してしまう物言いを、あまり好ましいとは思いません。

 持てるもの、持たざるもの。
 正社員、非正規社員。
 生活保護受給者、税金を払っている人。
 子どものいる人、いない人。

 こうした分類を行なうことによって、正しい政策が実行され、明るい未来が見えてきたことが、ここ10年の間にあったでしょうか。

 返した人と返していない人が生まれることで、返していない人は多かれ少なかれ負い目を感じるものでしょう。神戸市須磨区の男性は、「周囲には完済した知人もおり、返せなかった心苦しさが残る」と語っています。そういった人たちをさらに苦しませてどうなるのでしょう。

 もちろん、制度ですから、悪用する人が出てくることもあると思います。それは織り込みながら、分断を回避して社会全体を前に向けて進めていく。

 難しいかじ取りだと思いますが、自治体には、1人ひとりの生活にきめ細かく寄り添う姿勢を貫いてほしいと、切に願います。

カテゴリー:船戸明の公会計改革「待ってくれ!」, 公会計あれこれ