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「三方よし」の精神で、「日本の会社を強くする」

船戸明の公会計改革「待ってくれ!」

生活の安心

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 台風15号の影響で、
 大規模停電が起きた千葉県。
 全面復旧にはまだ時間がかかりそうな状況です。

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 台風15号が首都圏を直撃した9日以降、千葉県南部を中心に停電が続く。東京電力パワーグリッドは13日夜、東京都内で記者会見し、「今後、2週間以内におおむね復旧見込み」と発表した。

(2019/9/14、日経)
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 インフラ資産の維持補修は十分か?

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 被害が広がった背景として、想定外の強風に加え、送電設備の老朽化も指摘されている。送電線の鉄塔は70年代に建てられたものが大部分を占める。倒壊し、10万戸の大規模停電につながった千葉県君津市の鉄塔は72年に完成したものだった。

(2019/9/14、日経)
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 建設後50年を経過する施設の割合が、
 2018年→33年でどれくらい増えるか。

 記事によれば、

 道路橋:25%→63%
 トンネル:20%→42%
 河川管理施設:32%→62%
 港湾岸壁:17%→58%

 問題は、老朽インフラに対応するお金がないこと。

 東京電力ホールディングスも経営危機で、
 送電や配電設備への投資額は、
 1991年の約9000億円から、2015年には2000億円まで減少したと。

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 ただ、日本の財政状況は先進国で最悪だ。人口減少に備えて既存インフラの廃止や、住宅や商業施設を集約する「コンパクトシティー」も重要な選択肢だ。

(2019/9/14、日経)
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 経済は一流、政治は三流。
 そう言われていた時代が懐かしい。。。
 今や、日本は貧乏になり、経済も二流か三流なのでしょう。

 その貧乏感、つまりお金がないという不安感。

 総活躍だとか、世界の中心とか、挑戦とか、
 華々しい実のない言葉は、もうたくさん。
 地に足のついた生活の安心こそ、今、もっとも優先順位が高いはずです。

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対症より予防

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 ここのところ、日本経済新聞に、
「老朽インフラと闘う」という連載が掲載されています。

 たとえば、17日(金)。

 橋梁の点検に劣化を予測するシステム導入、
 といった話が紹介されていました。

 システム開発をした鹿島の担当者は言います。

「対症療法ではなく予防の観点でインフラを維持管理すれば、限られた予算をうまく配分できる」。

 国交省の分析では。

「国土交通省は2018年度に5.2兆円だった費用が48年度に最大12.3兆円になると予測する。予防を徹底した場合は6.5兆円で済むがネックは点検員の不足だ」。
 
 
 桁が大きすぎてピンときませんが、
 対症より予防というのは、何事にも通じる話でしょう。

 たとえば、昨年、
 固定資産に減損損失を計上した会社がありました。

 税務上、減損は認められませんので、
 計上年度は、減損損失を加算すればいいだけ。

 問題は、次年度以降。
 会計上の固定資産台帳と、
 税務上の固定資産台帳を維持し、
 その金額の差異を別表調整する必要があるのです。

 先日、現場だったので、
 2つの台帳を見比べながら、
 アナログで調整数字を拾い上げました。

 数字は集計できたので、
 申告に必要な手続きは完了。

 ただ、このまま放っておくと、
 来年、まず内容を思い出すのに時間がかかります。
 そして、集計方法を理解するまでは、さらに時間がかかるでしょう。

 時間もコスト。

 そう考えると、
 内容の記憶が新しい今のうちに、
 どのように調整数字を集計するかをまとめておくのが効率的です。

 ということで、エクセルの表を1枚作成。
 1時間以上かかりましたが、
 1年後なら倍はかかったはず。

 これも、ミスを生まない予防の1つと言えるかもしれません。
 
 
 対症より予防を。

 そのためには、
 予防ポイントを把握するためのセンサーを磨き続けることと、
 目先の少しの手間を惜しまない感覚が必要なのだと思います。

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資産老朽化比率

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 17日の日本経済新聞に、16年度資産老朽化比率の分析結果が掲載されていました。

 1億円で資産を取得した。
 7000万円まで減価償却が進んだ。

 この場合に老朽化比率は70%と計算されます。

 自治体が決算で作成している公会計では、減価償却は定額法。減価償却が進むということは、年数が経過していることと、理論的にはイコールです。

 理論的に、と留保したのは、公会計作成開始時の資産評価をどのように行なったか、自治体によって差があるから。

 道路や学校や水道や橋梁など、特にインフラ資産について、公会計作成前まで金額情報を持っていませんでした。そこで、一定の仮定を置いて、開始残高の計算を行なうことに。今回の老朽化比率も、その仮定の上に計算されています。

 老朽化比率=減価償却累計額/取得価額

 この分母が仮定に基づいている、ということです。

 回答のあった39道府県で、もっとも老朽化比率が高いのは、島根県の74.5%。一方、もっとも低いのは、奈良県の36%。

 仮定に基づくとはいえ、高度成長時代に整備された資産の老朽化が進み、かつ、財政が豊かとは言えない自治体も多いはず。

「古くても長寿命化対策を講じるなど適切に維持・管理されていればよいが、財政難の自治体ではコストのかさむ大規模な修繕や建て替えなどが先送りされがち。道路などのインフラでは大地震など災害時に問題が露呈しかねない」。

 これは、その通り。
 自治体の監査でも、頻繁に話題になる論点です。

 急にサービスが提供できなくなる。
 これが住民にとっては、一番困ることですから。

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資産価値を見る目

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 先週、自治体の資産の話を少ししました。

 直接は関係ないのですが、神戸女学院大学名誉教授の内田樹先生が、その大学校舎について、面白い話をされています。何度もいろんなところで書いたり話したりされていますが、今日は2014年12月に行なわれた講演会の言葉を引用しておきたいと思います。

 長い引用で手抜きと言われればその通りですが、数字で測れないものを測る・察知することについての重要性は、何度強調しても強調しすぎることはないのではないでしょうか。

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『日本の覚醒のために』
 晶文社、P.92-93

 これまでに何度もした話ですけれど、いまから20年以上前、僕が神戸女学院大学に勤め始めて4年目の時、ある銀行系のシンクタンクが入ってきて、大学の財務内容についてコンサルティングをしたことがありました。その時に、神戸女学院の建物を見て「この建物は無価値です」とゼロ査定した。「築60年の建物なんか、これから先、修理や耐震工事とかで金がかかるばかりだ。こんな建物を維持してゆくのはドブに金を捨てるようなものです」と言い切った。

 神戸女学院の学舎は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した建物の中でも屈指の傑作です。外形的に美しい建物であるというだけでなく、中にいると心が鎮まります。声の通りもすばらしい。その建物で日々を過ごしている人間たちの実感をコンサルタントはみごとに無視した。彼らがカウントしたのは、坪単価とか築年数というような数字だけでした。そして「無駄だから壊せ」と言った。もちろん、教授会はその提案を一蹴しました。

 コンサルタントたちがその価値をゼロ査定したヴォーリズの校舎は2014年、国の重要文化財に指定されました。現役の校舎としての指定は珍しいものです。今もその校舎の中で研究教育が行われて、礼拝が行われ、クラブ活動が行われている。そういう環境の中でキャンパスライフが送れるということは、生徒学生たちにとってはほんとうに得がたい幸運だと思います。でも、いずれ重要文化財に指定されるような建物の価値がこのコンサルタントたちには感知できなかった。それが僕には信じられないのです。だって、この建物が他と違う、特別なものだということは、建物の中に一歩足を踏み入れれば誰だってわかるはずのことだからです。空気が清浄で、粒子の肌理が細かくて、そこにいるだけで心身が調うことが実感される。にもかかわらず、このビジネスマンたちにはそれがわからなかった。世の中に彼らの手持ちの金勘定の道具だけでは価値が考量できないものがあるということがわからなかった。

 でも、そういう愚かな人間たちがいまの日本社会を支配しています。いまの日本人に一番欠如しているものはそれです。霊的感受性が鈍麻している。霊的に浄化された空間に踏み込んだときに、ここは世俗とは別の場だということさえ感知できない。

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生活基盤と、設備と

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 21日の日本経済新聞に「浜松市で下水道初の運営権 仏ヴェオリア陣営が取得」という記事が掲載されていました。

「浜松市は21日、国内初となる下水道の長期運営権売却「コンセッション」で、水処理世界最大手の仏ヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックスなどで構成する企業連合が優先交渉権を取得したと発表した。同市が下水道運営の一部を同陣営に20年間委ねる。コンセッションは空港や道路で始まっている。民間の効率的な運営ノウハウを生かせば収益性が見込めるとして、インフラ運営に参入する企業は増えそうだ」。

 さらに記事によれば、「コンセッション」は政府の成長戦略の一部で、利用料収入を伴うインフラ資産は185兆円、という記述もありました。

 民間委託して効率化。
 潜在ニーズのある成長市場。

 道路や空港の時はさほど違和感を覚えませんでしたが、下水道という点が少し引っかかりました。

 民間、って要するに大手上場企業でしょう。確かに、上場企業は効率的な運営ノウハウを持っているかもしれません。一方で、効率が悪い事業と判断すれば撤退するのも上場企業です。個々の企業の問題というよりも、効率の悪い事業を続けて、つまり赤字を出し続けて、株主還元を圧迫することが許されない構造になっているからです。

 市民の生活にとって、インフラとひと言で言っても、なくては生活が脅かされるものと、なくても何とかなるものがあるでしょう。道路や空港に違和感を覚えなかったのは、そうした「設備」は後者だと考えたからかもしれません。

 今後、民間運営が広がっていくのかもしれませんが、水道といったライフラインと設備は分けて考えたほうがいいのではないか。そういったライフラインを民間に委託して撤退されたらどうなるのか。

 そんなことは十二分に考えてくれているのだと信じたいところではありますが、どうも最近、そうは思えないものでして。

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何でも命名

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 今日の日本経済新聞に、「命名権「生活密着」シフト」という記事が掲載されていました。

 名古屋市にある各種施設の命名権。

 日本ガイシスポーツプラザ。
 日本特殊陶業市民会館。
 パロマ瑞穂スポーツパーク。

 その中で1つ、面白かったのは歩道橋。

「人気を集めている施設の一つが歩道橋だ。現時点では216の募集対象のうち81で契約が成立。「河合塾 千種ビクトリーブリッジ」といった愛称が書かれた歩道橋が目に付く。募集条件に地域への貢献活動の提案を入れているのがポイントで、建設会社、病院、学習塾をはじめ、様々な団体が手を挙げ、契約した歩道橋周辺の清掃、交通安全活動、放置自転車の整理などに取り組む」。

 なるほど、歩道橋まで。

 まったく関係ないですが、思い出したのは長野県駒ケ根市の母方の田舎に帰る時に乗った高速バス。高速道路(中央道)にある小さな橋を何度も通るのですが、その1つ1つに名前がついているのです。もちろん、企業名ではなく、その土地土地の地名です。

 本当に小さな橋で、しかも高速道路。なのに、地名を冠した名前がきちんとある。

 そのことに、妙に感動したことを覚えています。

 命名権が地域の財政を補完しているのは事実でしょう。ただ、記事の最後でも、次のように指摘されています。

「命名権は地域全体で施設の存在をもう一度、考えるきっかけづくりになる」

 先の歩道橋の話を家族としていた時、「なんでもビジネスやね」という発言がありました。お金のことだけでなく、地名を守ることも、長い目で見れば地域を守ることになる場合もあるのではないでしょうか。

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ビジネスの着眼点

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 昨日の日本経済新聞に、「道路の傷み、定期監視 ALSOK、早期発見狙う」という記事が掲載されました。

 冒頭の内容を見ておきましょう。

「綜合警備保障(ALSOK)は道路に段差や穴、ひび割れなどが生じていないか定期的に監視する自治体向けサービスを始める。通常業務で使う車両に加速度センサーを搭載し、走行時の振動などから異常箇所を見つけ出す。専用車両を使う本格的な調査よりも費用が抑えられるとしている。インフラの老朽化が進む中、3年後に100自治体への提供を目指す」。

 別にALSOKとは何の関係もないのですが、なるほどなあ、と思いました。

 どうせ、自社の車は走らせている(4000台以上)。
 だったら、走っている道路について、何か情報を得られないか。
 その道路を整備している自治体に対し、情報を提供したらビジネスにならないか。

 最初に誰かが閃いたのだと思いますが、その着眼点は見事だなあと感心したのです。

 エスカレーターの手をあてがうベルト部分に広告が出ていることがあります。
 電車の車両まるごと、広告で塗りつくされていることがあります。
 体育館や文化施設のネーミングライツが売買されてもいます。

 その善し悪しはおくとして(私はどれも嫌いです)、どんな事業にも「最初に思いついた人」がいるはず。そういう閃きを得るためには、自分の関心を広げておく必要があるでしょう。

 先の道路の話でも、「自治体が道路を整備している」「道路の整備費用がバカにならない」「自治体財政は逼迫している」あたりの前提条件がインプットされていないと、とても思いつく話ではないはず。ALSOKなのか、その協力会社なのかは分かりませんが、たまたまそういった関心の広い人がいて、営業車で走っている時にふと思いついたのかもしれません。

 ちなみに、費用は料金1kmあたり年2万円。千葉県の実証実験では、向こう50年間の費用(道路整備・補修費用でしょう)を約6割削減できると試算されているのだとか。

 さて、安いのか、高いのか。どうなのでしょう。

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学校と無線LAN

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 今日の日本経済新聞1面トップ記事は、「全小中高に無線LAN 電子教科書に対応」というタイトルでした。

「総務省は2020年までに全国すべての小・中・高校に無線LAN「Wi-Fi」を導入する方針だ。教科書の内容をタブレット端末などに収めた「デジタル教科書」の普及に向け、導入費用の半分を補助する」。

 導入費用というのは、具体的にはルーターのようです。学校としての付加価値は高まるのでしょうが、ルーター自身、単独では資産計上が必要な金額とはならないでしょう。
 
 
 それはいいのですが、気になったのは教科書が電子化される、ということ。その効用を、記事ではこう述べています。

「音声や動画を盛り込めるため、学習内容の理解が深まりやすいとされる」。

 なるほど、とは思います。

 ただ、自分でも気をつけていることなのですが、パソコンやタブレット端末を使うことの最大の問題は、画面に見入ってしまい相手の顔を見なくなること。教育現場で言えば、生徒が先生の顔を見なくなる、と。長い目で見ると、この弊害のほうが大きいのではないかと思います。

 せめて、小学校くらい、紙の教科書でもいいのではないでしょうか。患者の顔を見ない医者を信頼できないのと同じで、人の顔を見ない小学生を想像したくありません。
 
 
 現実的には、正式な教科書に位置づけるには法改正が必要で、端末代金を誰が負担するかなどの課題が残るのだとか。科学の進歩が止まらないのと同じで、時代の流れが止まらないことも理解しますが、でも、あえて立ち止まらなければならない場面もあると、私は思っています。

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目先の成果を問わない

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 先週に引き続き、平田オリザさんの『下り坂をそろそろと下る』(講談社現代新書)から。

 場所は兵庫県豊岡市。城崎温泉街の町外れに、「城崎国際アートセンター」という施設があるそうです。その誕生に至った経緯を、平田さんの記述から紹介します。

「豊岡市と合併した城崎の温泉街の町外れに、兵庫県立城崎大会議館という施設があった。一〇〇〇人を収容できるコンベンションセンターだが、残念ながら稼働率は極端に低かった。建設当時は、大会議場を作れば様々な学会や労働組合の大会などを誘致でき、周辺の旅館業も潤うと考えたのだろう。しかし残念ながら、その目論見は見事に外れた。開館以来、一度も一〇〇〇人の定員を満たしたことはなく、寂れる一方となっていた」(P.54-55)。

 で、兵庫県はこの施設を豊岡市に払い下げた。その使い道を考えているとき、中貝宗治市長が、ふと、劇団やダンスのカンパニーに貸し出してはどうかと思いついた。

 そこで平田さんも関わりを持ち始め、半年間の地元の方たちとの協議の結果、「城崎国際アートセンター」が誕生したそうです。

「関西で先進的な仕事を続けている「いるか設計集団」が改装を担当し、低予算で、質実剛健はリニューアルが実現した。外見も、かつての外観を一新させて、黒作りのセンスのいい建物に生まれ変わった。六つのスタジオと、最大二八名が泊まれる宿泊施設や自炊設備を完備した国内最大級のレジデンス施設(宿泊施設を備えたアートスペース)が誕生した」(P.56)。

 施設利用料は完全に無料。
 審査に合格すれば、3日間から最大3か月まで滞在可能。

 そんな施設の特徴を、平田さんはこうおっしゃっています。

「この施設の最大の特徴は、今どきの公共施設では珍しく、「短期的な成果を問わない」という点にある。作品を創らなくてもかまわない。たとえば私のような劇作家が「構想中です」と言い続けていれば、何もしなくても三ヵ月滞在していてかまわない」(P.57)。
 
 
 なぜこうした取組が可能になったのかは、本書に詳しいので省略しますが、もちろん温泉の存在や、志賀直哉の『城崎にて』も大きな財産です。

 ハードよりソフト、と言われますが、もっとも重要な点は、平田さんの記されている「短期的な成果は問わない」という姿勢だと思います。正反対の声はよく聞きますが、果たしてうまくいっているのかどうか。もし短期的な成果を求めてうまくいくのであれば、当たり前ですが行政が行なう必要性は乏しいのではないでしょうか。

 今度城崎に行く機会があれば、「城崎国際アートセンター」に立ち寄ってみたいと思います。

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調整池を眺める

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こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 つい先ほど、近所を4kmほど走ってきました。

 走ったのは2週間ぶりでしょうか。走る時間がなかったのではなく、走る気力がありませんでした。ただ、1月期限の仕事が落ち着いたこと、2月の宇治川マラソンが近づいてきたこと、そして何より、身体が走ることを求めていたこと。走る時間は、何からも解放される貴重な時間です。

 4kmほど走るいつものコースには、「調整池」が少なくとも2つあります。1つは「調整池」と明示されていますが、もう1つは明示されていません。でも、同じようなつくりですので、きっと調整池なのでしょう。

 Wikipediaによれば、調整池とは、「集中豪雨などの局地的な出水により、河川の流下能力を超過する可能性のある洪水を河川に入る前に一時的に溜める池」とあります。

 これは相当大きな、しっかりした調整池だと思いますが、三重県の「e-すまい三重」というページで説明されている「山などの開発を行うと一般的に雨水等の地面にしみ込む量が減って、その地区から流れ出る水の量が増え、この開発区域より下流の川では洪水の危険が高くなります。これを抑えるのが調整池です」という解説の方が、住宅地にある調整池にふさわしいのかもしれません。

 ランニングコースにある調整池も、住宅街の真ん中に配置され、おそらく住宅開発会社が造成したものと思われます。それほど大きいものではなく、スペースは家1つ分くらい。そこに、「池」というよりも「大きな水溜り」といった方が似つかわしいほどの水がためられています。

 かつて、とある自治体で、調整池の評価について聞かれたことがあります。その際は、自治体がしっかり予算をつけて整備した立派な調整池はいいけれど、住宅地で開発会社が造成して、完成後、自治体に寄付される調整池はどう評価すればいいか、という話でした。

 もらったからといって、0評価ではありません。売却できないからといって、0評価ではありません。そんなことをしたら自治体が保有する多くの固定資産が0評価になってしまいます。

 かといって、寄付を受けた調整池をどう評価するかは、考えれば考えるほど、難しい問題です。

 住宅開発会社に聞いてみる。
 自治体が造成した調整池の(たとえば)面積あたり単価を使用する。
 あるいは、その単価の50%評価とする。

 さしたる名答があるわけではないのですが、そもそも本来、金額に換算できないけれど地域の生活を支えている資産を金額評価しようとするのが自治体の固定資産評価です。何が正確かの答えがあるわけではありませんので、調整池に限らず、どこかで「割り切り」が必要なのだと、私は思います。

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